2003年10月20日

[ タイトル:ブロードバンド、夢の通い路]
[ 著者:下浦一宏 ]

電気屋の巻

こんにちは、下浦@IT調査員です。今年はNYで大停電もありましたし、今回は電気と通信のブロードバンド化について考えてみたいと思います。

▼ラスト1マイル

私は会社生活15年のうち、前半の7年半は配電部門におりました。「配電」というのは電力線の「ラスト1マイル」に相当する部分で、ここの良し悪しで電気の品質の大部分(電圧、信頼性等)が決まってくるんですね。歩くと電柱ばかり目がいく点は職業病と言えるでしょう。

電柱のデザイン(装柱)も各社で異なっており、ドラマなどで電柱が映ると、「設定では○○県だが、実際は△△電力のエリアで撮影されたんだな」という事がわかったりします。まあ別にドラマのアリバイ崩しても仕方ないのですが。

よく通信ビジネスで「ラスト1マイル」の話が出てきますが、電気の「ラスト1マイル」の方がずっと大変だというのが正直な感想です。通信線なんて電柱の中程にチョコッと乗っているだけですからね。ラスト1マイルを制する者がインフラrジネスを制すると言われており、Yahoo! BBの成功は、NTTのメタル線をうまく開放させた点にある訳です。


▼電線ブロードバンド

日本の電気は信頼性が高いと良く言われますが、秘密は「電線」にあります。日本の高圧電線(6600V)には架橋ポリエチレンの被覆がしてあります。海外の多くは未だに裸線です。これだけで3倍くらい信頼性が高くなります。

高圧というのは、今は6600Vですが、昭和30年頃は3300Vだったんですね。当時は高度成長の入り口にあり、洗濯機、冷蔵庫、テレビが「3種の神器」と呼ばれ、電力消費が急激に伸び始めた頃です。3300Vではモタナイという事で、思い切って6600Vにしたんですね。電圧を2倍にすると、送電容量は2倍に、電圧降下率は1/4になります。しかし電柱に載っている変圧器を全て吊り替える必要がありますから、大変な工事です。

この時に思い切って高圧設備の「ブロードバンド化」をやったオカゲで、その後、家庭電化は大いに進展し、電気事業本体よりも大きな「電力アプリケーション産業」が出現した訳です。また、家事労働を軽減された女性達が社会進出を始めました。「社会を進化させるのは、思想ではなくインフラだ」というのが私の信念です。さらに22000Vを普及させるぞ、という計画もありましたが、コスト等の問題で成功していません。


▼孫正義の功績

ここから本題なのですが、この電気の歴史を今日の「ブロードバンド」にあてはめるとどのような教訓が得られるでしょうか?

「ブロードバンド元年」と言われる2001年からADSLの普及が進み、今年5月末には、CATV、FTTHと合わせて1000万件を突破しました。遅れていた日本のブロードバンド環境を世界トップレベルにしたのは、孫正義氏の功績であることは認めざるを得ません。スピードネットの失敗でメゲナイ所が偉大な所です。

http://www.soi.wide.ad.jp/class/20010000/slides/02/intro.html
http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/cover/index.htm

今後NTTの逆襲が成功するかどうかは、メタルが光に置き換わるか?という点にあるのですが、恐らく答えはYESでしょう。でもその頃にはビジネスの主戦場はコンテンツに移っているでしょうし、孫氏はその方面でも抜かりはないでしょう。ソフトバンクは元々ソフトウエアの流通業から出発しましたからね。

http://anime.tv.yahoo.co.jp/meisaku/
http://comics.yahoo.co.jp/


プロフィール
下浦 一宏(しもうら かずひろ)
関西電力株式会社 研究開発室付(休職中)

Posted by shimoura at 2003年10月20日 09:51 | トラックバック
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