2004年06月02日

[ タイトル:ブロードバンド、夢の通い路]
[ 著者:下浦一宏 ]

P2Pの巻

こんにちは、下浦@IT調査員です。Winnyを開発した東大の先生が、京都府警に逮捕、起訴されるという事件がありました。東京一極集中の現代では、密かに府警を応援している京都人もいるかも知れませんが、それを公言するようでは「京都人」失格です。今回はP2Pとその周辺技術について考えてみたいと思います。
http://www.asahi.com/national/update/0531/005.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/10/news028.html
http://www.geocities.jp/cyber2ch/latestnews/winny_kyoto.htm

▼ P2Pのトポロジー

私の理解する範囲で整理しますと、P2P技術 (Peer to Peer)は、個人間でファイル(音声、映像等)を交換する技術であり、コンテンツ情報を集中管理するサーバをもつ「Napster型」と、管理サーバのない「Gnutella型」に分類できる。Winnyは後者に属し、映像の交換等に用いられたため、「著作権の問題」と「ネットワーク負荷の問題」を引き起こしました。

http://www.napster.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/Gnutella


Gnutella型は、たとえ管理サーバが、トラブルや裁判所命令等で停止しス場合でも、ネットワークが維持可能なため、耐久性は高くなります。反面、「誰かこのファイルを持っていない?」とあちこち聞いて回る必要があり、ファイルの検索効率、ネットワークの利用効率は悪くなります。今回の裁判は主に「著作権の問題」が議論になっていますが、ブロードバンド時代には、「ネットワーク負荷の問題」も無視できないと思います。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/10/20/804.html
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20031015/106249/


著作権の管理は、ファイルそのものを暗号化し、パスワードやネットを介した認証手続きが必要な方式をとれば、技術的には解決可能であり、最近のコンテンツ配信やソフトウエア配布はこの方式が増えてきました。そこで以下では、「ネットワーク負荷の問題」に絞って考えてみたいと思います。

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1924


▼ インターネットは崩壊するか?

昔、イーサネットを発明したメトカーフという学者が、「インターネットは1996年に崩壊する」と予言して見事はずれた事がありました。ところが最近ブロードバンド普及に伴い、IIJの鈴木社長など、インターネット崩壊を再度警告する専門家が出てきています。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/INTERVIEW/20040407/142540/
http://www.ibiblio.org/pioneers/metcalfe.html


そもそもインターネットは、「核攻撃にも耐えるネットワーク」という事で考え出されたもので、耐久性が最重視されました。1964年のポール・バランの論文に出てくる有名な図では、(C)の分散型ネットワークが望ましいとされた訳です。

http://www.rand.org/publications/RM/RM3420/RM3420.chapter1.html
http://www.ibiblio.org/pioneers/baran.html


ところが、ネットワークの効率、建設コストを考えると、(B)の階層型ネットワークが望ましい事が解ります。葉脈とか、人間の血管とか、自然界のネットワークも階層的である事が多いようです。各点を結ぶ線分の長さの合計を測定しますと、(B)を1として、(C)は1.52、(A)は2.05程度となります。(また(A)は、点の数が
3つばかり少ない事に気づきます)

100年余り経た日本の電力系統は、家庭に入っている100V, 200Vから、6,600V,22,000V, 77,000V, 154,000V, 273,000V, 500,000Vというような階層構造に整理されており、50万ボルトで他の電力会社と連係されていますが、インターネットもブロードバンド化を追求していくと、既存の電力網や電話網のような階層構造に移行せざるを得なくなると思われます。


▼ ハイビジョン映像の配信

FTTH時代のネットワークの目標は、P2Pで100Mbpsを流せる事でしょう。現状では同一プロバイダ内で10Mbps、プロバイダが異なると1Mbps以下に低下する場合もあり、バックボーンやプロバイダ同士の連係点(IX)の性能向上がまだまだ必要な状況です。

http://www.jpix.co.jp/jp/techncal/traffic.html


政府も「超高速フォトニックネットワーク開発推進協議会」などで研究を支援していますが、基礎研究に偏向しており、結局はアメリカのベンチャー企業の製品開発能力に負う所が大きいと思われます。

http://www.scat.or.jp/photonic/


P2Pで5Mbps流せると、ホームサーバを用いたハイビジョンの配信が可能となります。枚方市にお住いの前田さんのサイトでは、ビクターのハイビジョンカメラで撮影した映像をWindowsMedia9形式で配信されています。720pの映像で5Mbps程度であり、インターネットでDVDを超えるクオリティーの映像を配信できる時代が来たかと感慨深いものがあります。

http://www.ne.jp/asahi/smaeda/12/wm9/wm9-13/wm9-13-1.htm


マイクロソフトはWindowsMedia9によるハイビジョ映像に力を入れており、これだと現状のDVDでもハイビジョン映像が焼き込めますから、ブルーレイなど次世代DVDが不要となる可能性もあります。パソコンのマルチメディア化も今後ますます進展するでしょう。

http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/default.aspx


あまり集中するのは良くないという事ですので、皇太子殿下、雅子様におかれましては、マスコミや侍従がうるさい東京を離れ、京都御所にお住いになられるのが、危険分散という点からもよろしいのではないかと考える次第です。


プロフィール
下浦 一宏(しもうら かずひろ)
IT調査員(ブロードバンド担当)

Posted by shimoura at 2004年06月02日 16:18 | トラックバック
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