2006年05月11日

[ タイトル:ソリトン通信]
[ 著者:下浦一宏 ]

役に立たない技術

前回、役に立つ技術について書いたが、(一見)役に立たない技術の方が楽しい事も事実である。マズローの欲求段階説の上の方に関係するからである。

http://www.dango.ne.jp/sri/maslow.htm
http://www.geocities.jp/krytone1234/chittytop.htm

電力会社の技術屋が浮かばれないのは、製品(電気)に差の付けようがない、という事である。100V、60Hzと言えば完全に記述されてしまう訳で、停電すれば、夜中でもなるべく早く駆けつけて復旧する事が要求されるだけである。

「○○印の電気」をブランド化させようとした社長もいたが、まだ水の方が、「△△のおいしい水」とか、ブランド化に成功している。まあ、インフラ産業の宿命であろう。

最近「金融工学」が流行であるが、これもリスク、リターンの関係で完全に記述される訳で、多少、高等数学を使ってはいるがインフラ技術に近いと思う。

従来の工学教育は、マズローのいう所の「生理的欲求」「安全の欲求」辺りをターゲットにしていたと思う。敗戦国の暗い影を背負っているのである。アメリカみたいに「豊かになりたい!」という強い憧れが、国立大学工学部の背景にある。

私は工学部で教育されたので、ソニーの技術者が犬のロボットを創り出した時は、おおいに違和感を感じた。「もっと他にやるべき事があるだろ!」という感覚である。後年、NYの近代美術館に展示されているのを観て認識を改めた。
http://www.jp.aibo.com/
http://www.moma.org/collection/browse_results.php?object_id=82163

ITの魅力は、「集団帰属」「自己実現」といったマズローの三角形の上の方に関係するからであろう。西陣織、清水焼き、といった京都の伝統工芸品も上方に帰属している。貴族社会をターゲットに最高のものを追求した訳で、松下の「水道哲学」とは対極にある。
http://www.pref.kyoto.jp/senshoku/nisijin.html
http://www.asahido.co.jp/

現在、この領域に近いのは、スーパーカーとか、オーディオの世界である。世の中には、良い音の為にはオカネを惜しまないという人がいて、ハイエンドの世界を支えてきた。取りあえず、ダイアトーンのスピーカーが復活したのは良かった。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0605/09/news081.html

本来、技術の神髄はアートとの境界線上にあるはずである。私は光ファイバにより多くの情報を流す技術を追求して、工学博士をもらったが、アートの領域には全然達していない事は事実である。

Posted by shimoura at 2006年05月11日 06:29 | トラックバック
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