2006年09月24日

ノーベル賞候補と割勘した話2

ミーハーぽくて恐縮であるが、今回は、もう1人のノーベル賞候補、Emmanuel Desurvire氏と握手した話を紹介したい。

http://www.thomsonscientific.jp/news/press/nobel2006/index.shtml

とにかく、昨日まで配電線の設計書を書いていた人間が、社内公募で研究所に異動し、光通信研究の最先端に放り込まれた訳である。1995年の夏の事であった。

1990年代は、光通信の「奇跡の10年」と言って良い。というのも、1980年代の終わりに、今回受賞の対象となった「光ファイバ増幅器(EDFA)」が発明され、減衰した光信号を簡単に増幅できるようになったからである。

EDFAが発明されなければ、波長多重も光ソリトンも実用化されず、インターネットのブロードバンド化も進まなかった事は間違いない。私がこの世界に入ったのは、まさにギガビット領域からテラビット領域への快進撃の最中であった。

当然、EDFAの発明者は誰か?気になった。いろいろ聞いてみると、Desurvire氏と、Payne教授が1987年に書いた論文を挙げる人が多かった。中沢氏は、1989年の論文で半導体レーザーでEDFAを励起する事を提案していて、どちらかというと改良研究である。
http://www.sciencewatch.com/interviews/emmanuel_desurvire1.htm

ある年の夏に箱根の仙石原プリンスホテルで開かれた研究会にDesurvire氏が来られていたので、無謀にも「EDFAの発明者はあなたですか?」と聞いてみた。「YES]と答えられたので、握手して頂いた訳である。Desurvire氏は長身ハンサムな研究者で、女性連れであったと記憶する。
http://www.alcatel.com/newslink/0101/whats_new.htm

「ノーベル賞の光と陰」という話があるが、世界で同時期に研究が進められる訳で、誰を受賞者とするか難しいものがあると思う。研究者は他の研究者との相互作用の中からアイデアを掴む事が多いからである。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022594225

後日、伊丹の三菱電線に伺った時に「この部屋でEDFAが誕生しました」と紹介された事がある。NTTの使っていたEDFAは三菱電線で製作されたものである。光ファイバ増幅器の開発において、吉田実氏らメーカー技術者の貢献も大きかった事は間違いない。
http://www.mitsubishi-cable.co.jp/jihou/pdf/96/07.pdf

Posted by shimoura at 06:34 | コメント (294) | トラックバック