2006年10月03日

ノーベル賞候補と割勘した話3

東電が光通信事業をKDDIに売却し、事業から撤退するらしい。かつて真藤恒NTT初代社長に「恐れるべきは電力のみ」と言われながら、撤退するに至った経緯について、経営学的な分析が必要と思う。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20060930AT1D290B529092006.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E8%97%A4%E6%81%92

真藤氏が電力を警戒したのは、電力会社がラスト1マイルを構築する能力を持っていたからである。電力や通信などのインフラビジネスでは、お客様に接するネットワーク構築に最もコストがかかる。
http://www.asahi-net.or.jp/~ix6k-smur/society/kaitei.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~ix6k-smur/mankai/2003/1020.html

日本は今でこそブロードバンド大国であるが、NTTがアクセス網を支配していた頃は世界に遅れていた。ソフトバンクがADSLでこれを切り崩したのがブロードバンド時代の始まりである。わずか5年前の話である。
http://www.soi.wide.ad.jp/class/20010000/slides/02/intro.html

その後、ソフトバンクは、日本テレコムを買収し、ボーダフォンを買収し、ブロードバンドインフラ企業として着実に前進している。孫正義という起業家が、自らの信念で推し進めているのが大きい。
http://www.softbank.co.jp/explanation/other/040830/main/index_hi.htm
http://www.softbank.co.jp/explanation/other/060317/ja/fs_bb.html
http://www.softbank.co.jp/presentation/press/index.html
http://www.softbank.co.jp/hr/vision/index.html

もう一つの系統が、京セラの稲盛和夫氏のKDDIである。DDIは、稲盛氏がNTTから人材を引き抜いて創った会社であるが、その後KDD、AU、ウィルコム等を統合して、今回、電力系通信会社との合併を検討中のようである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/KDDI

電力会社が通信事業で成功できなかったのは、経営の問題が大きい。急激に変化している業界では、経営者に「どれだけ大きなリスクがとれるか?」が決定的である。本業の電力であれば、「黒四ダム」のような例もあるが、本業以外で思い切った投資判断をする事は難しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E9%83%A8%E3%83%80%E3%83%A0

電力が思い切ってソフトバンク、マイクロソフトと組んだ例として、スピードネットがある。社長は、真藤恒氏の息子の真藤豊氏であった。東電の荒木会長は、電力には珍しく思い切った判断をする人であったが、その後、原子力のトラブル隠しで失脚した。
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/0811/softbank.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88

その他、電力の通信事業が飛べなかった要因として、各電力会社がバラバラである事、縦割り組織で、通信部門と、実際にファイバーを構築している配電部門の連係が悪い事、規制の問題等いろいろ有り、そのポテンシャルを十分に発揮できていないのは残念な事である。

Posted by shimoura at 03:29 | コメント (192) | トラックバック