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◇コラムバックナンバー【週刊☆ビジマ】vol.28 流行り言葉って使ってみたくなりません?でも

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.tokeidai.net/works/    2003/07/23発行 No.028
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【 CONTENTS 】

☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』第5回

        「インターネットだからよいのですか?」

                    技術戦略コンサルタント 生島一司
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こんにちは。
【週刊☆ビジマ】編集のコヤマンです。

マジックワードというのが世の中にはあって、
例えば「英語がしゃべれないとね〜〜」なんていわれると、
「はは〜〜っ」とひれ伏してしまう。

僕なんか典型的にそうだったわけで、アメリカに来て1年になるのですが
未だに「英語コンプレックス」は払拭される気配はありません。


生島さんの今回の「インターネット」も、そういうマジックワードの典型で
これが力を発揮する仕組みというのは簡単。

・インターネットがなにか知らない
・でもすごく流行ってる。
・知らないからコンプレックスを抱えてしまう

こういう循環が働くからなんです。


でも実際は、柳の下の幽霊。
「正体見たり〜!」が、一番の特効薬。

では、その「インターネット」の正体を、
ちらっと覗いてみましょう!


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☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』第5回

        「インターネットだからよいのですか?」

                    技術戦略コンサルタント 生島一司
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アイキットの生島です。

数年前のことですが、あるベンチャーキャピタルのE氏から
「このベンチャーはインターネットだからよいのですよね」
と何やらよく分からないことを尋ねられたことがあります。
本人は、インターネットを利用したビジネスだから将来性、つまり上場する可能
性が大きいのですか? と言いたかったのだと思います。

最近、同じE氏から
「この会社はインターネットだからよくありませんよね」
と言われました。どうやら最近はインターネット上のビジネスを避けているよう
なのです。

これはどういう訳なのでしょう?
投資の神様と言われたウォーレン・バフェットはITには投資しなかったという
のは有名な話ですが、結局彼は自分が分からないものに投資しないというだけの
ことだったのです。尤も、ITという言葉の定義も不確かなのですが。
しかしITバブル時代には、多くの人が自分の分からないものに投資していたの
です。


▼ 木を見て森を見ないと本質は分からない

以前「深層・中継層・表層」の三層の構造で述べたように、お金は表層を回って
います。ですから、表層だけに注目して投資し、短期で投資を回収したいという
現象が起こるのは理解できます。ただし、決してお奨めはしませんが。
ただ、物事の一部しか見ていないとその結果世の中の流れが分からずに結局痛い
目に合うということになってしまう可能性が大きいのです。

しかし、本質を理解しないで現象だけを捉えて動く人が圧倒的に多いのも事実で
す。
表層のビジネスモデルを支える「基礎技術」「いろいろな戦略」の各要素をシン
プルに捉え、その各要素をどのように連携させて組み立てるかが重要なのです。
ITバブルは借り物の技術と資金を元に、アイデアだけの表層のビジネスモデル
が乱立していたのです。

E氏の言っていることは、表層だけで物事を捉えるならその通りなのでしょう。
しかしビジネス構造の深い本質のところまで考えると、まったくの的外れになっ
てしまいます。そして、E氏のように流行りの言葉に振りまわされてしまう人が
多くいるのです。


▼ 流行り言葉に振りまわされるな

IT、ナレッジマネジメント、ブロードバンド、MOT等次々と流行りの言葉が
出てきては消えていきます。そしてこのキーワードを冠したセミナーに多くの人
が殺到します。逆に、この手の名称を使わないセミナーには人は集まりません。
以前「ブロードバンド時代のナレッジマネジメント e-Learning セミナー」な
んていうセミナーを見かけたことがあります。どういう内容のセミナーなんでし
ょうね。

言葉の意味する本当の内容は、付け焼刃の知識では満足にフォローできません。
次から次へと出てくる流行の言葉の受身側にいるということは、どういうことで
しょうか。それは流行の仕掛け人の思う壺にはまってしまうリスクがあるという
ことなのです。
言葉が本当に意味することが分かる人だけが、流行り言葉に振り回されず、それ
を利用してビジネスを行えるということだと思います。

例を挙げて説明しましょう。
IT=情報技術 という言葉は、2000年の春にはまだあまり使われていない
言葉でした。それが2000年の秋には殆どの人が定義も知らずに使うようにな
っていました。
NHKなどは「情報通信技術」と訳していますが、「情報放送技術」とはいくら
なんでも言えなかったのでしょうね。

よく考えると、ITを支える技術は、半導体、ネットワーク、コンピュータのハ
ードウェアやソフトウェア等の技術のインテグレートされた環境であり、これは
以前から脈々と続く工学分野なのです。これは深層の部分です。
この分野の製造業に属する人間は、誰も2000年になって急にITが出現した
とは思っていませんでしたし、それまでもITなどという言葉を意識的に使って
はいなかったのです。

そして、ITという言葉を流行らせた一部の人達に追随したITを理解しない多
くの人が結果的に踊らされてしまったのですが、その裏側には流れを読み取り早
々にバイアウトしたり、流行りに便乗して多額の利益を得た人達がいたのも事実
なのです。


▼ ベンチャー投資の矛盾点

そろそろ物事の本質に目を向けて、表面の現象だけに振り回らせられるのは止め
る時期に来ているように思うのですが如何でしょうか。
これが暫くベンチャー投資の世界に身を置いて感じた私の正直な感想なのです。

以前、ベンチャー投資は新規の事業を振興するために大事な手段だと思っていま
した。勿論これは事実でしょう。そのために頑張っている人が多くおられます。
しかし、短期間で上場に繋がらない事業でも本当に重要な事業というものがある
という事実も否定できません。残念ながら、ベンチャー投資はこれらの事業にお
金を回す仕組みにはなり得ないのです。

株式市場は、企業が資金を調達するために必要な場だというのは間違いないので
しょうが、新規に企業が新株を発行して調達する金額は株の全売買量の僅か2%
なのです。株取引額の98%は、既に上場されている株の売買によるもので企業
には資金は入らないのです。

また、金融や投資は実体経済がないと成り立ちません。勿論お金はビジネスの血
液だということに異論はありません。大切で必要なものです。
しかし、お金という表層だけからしかビジネスを見ることのできない人は、いつ
まで経っても本当のビジネス、実体経済の深い仕組みが理解できないのではない
でしょうか。

PCやネットワーク機器、半導体を作っている企業は、製造という点ではITバ
ブルにある程度(かなり?)振り回されたのも事実ですが、ITと言われた分野
にあまり深く関わっていない製造業では、ITバブルやニューエコノミーなどの
本質は初めから見抜いていて、というよりITバブルがやがて崩壊するのは既知
の事実としてあまり真剣に取り合わなかったという面があるのも否めません。
事実何やらワイワイ騒いでいるなと、当時でもあまり議論の対象にもならなかっ
たのです。

騒いでいる側、本質が分かり何故騒いでいるのだろうと静観している側、二極化
が起こっていました。問題なのはこの両者を繋ぐシステムが日本には存在しない
ことでしょう。


▼ 理系・文系ということの矛盾

日本では理系、文系という言葉が使われます。
どうもこの範疇で日本は二分化されている印象を受けます。
あまりアメリカの例を引き合いには出したくはありませんが、アメリカの大学、
特に学部では理系、文系に分けるという概念が希薄のようです。

あるアメリカ人の友人が
「僕は大学でアカウンティングとコンピュータサイエンスと経営学の学士号を取
ったんだ」
と言っていました。
つまり、日本で言う理系、文系の枠を超えて基礎的な知識を得る仕組みになって
いるようなのです。そして事業で成功したエンジニア達が、今度はその知識を持
って目利きのできるベンチャーキャピタルやエンジェルを始めるのです。
また、日本で言う理系。文系の知識を持った実務家が生まれる仕組みになってい
ます。ですから、理系人間、文系人間ではなく、彼はどこどこの分野の実務家と
いう見方ができています。ビジネスはその実務化の連携で成り立ちます。

また、コンピュータサイエンスだけを見てみても日本のようにソフトウェアだけ
を勉強するということがありません。ソフトもハードも基礎知識として両方勉強
するのです。

今はYahooと合併してしまった eGroups のアメリカ人のエンジニアがこう言って
いました。
「僕は、eGroupsに誘われる前は○△で□×のMPU(中央演算素子)の○×アーキ
テクチャー(有名なアーキテクチャーです)をやってたんだ。eGroups ではWeb
技術を担当していたんだけど先月退職して、来月からはスタンフォードの友人に
誘われて△○という会社で気象サービスのシステムをやるので今から楽しみだ」
彼はハード、ソフトの知識を持ち合わせ、更にスタンフォード卒業者のコネクシ
ョンがあることが分かります。これがシリコンバレーの本質なのでしょう。短期
間で真似のできない構造がそこにあるのです。

日本では理系、文系の枠にとらわれ、コンピュータ関連ではハード、ソフトでも
分けられてしまっています。ソフトウェアだけのエンジニアは中国、インドから
将来いくらでも調達できるようになります。そうではなく新しい技術、ビジネス
を生み出すエンジニアが今日本には必要なのではないでしょうか。
そして、理系、文系の捉え方をそろそろ止めて専門の実務家同士として連携する
という捉え方を始める時期にきているのだと考えています。


▼ 補足

上場以外にも企業が資金を調達する方法はいくつかあります。また新規事業の育
成策も考えられています。具体的には、補助金やTLO等なのですが、これらに
関しては、企業の技術戦略という視点で次回以降に機会を得て説明していきたい
と考えています。


では、次回をお楽しみに。


■プロフィール
エレクトロニクス、情報技術の総合技術戦略コンサルタント
アイキット 代表 生島 一司(いくしま かずし)

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる。大阪市立大学 非常勤講師。

ご意見、ご感想、ご用命は以下のメールアドレスでお待ちしています。
mailto:bijima@i-kit.jp

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
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   ・発行部数
     まぐまぐ: 597部(ID:0000106852)
     melma! : 76部 (ID:m00086769)
     発行部数: 673部(2003年7月23日現在)

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   編 集:小山 龍介   mailto:koyaman@koyaman.com
   編集協力:Idea in Action, Inc http://www.ideainaction.com/
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【編集後記】

◆25日にはアジアナイトという催し物が行われます。文化交流のイベントなん
ですが、パフォーマンスをやらなくちゃならない。で、わがジャパンクラブは
「おはロック」!  微妙な古さっ! 男5人で毎晩、特訓中です・・・。いや
はや何やってんだか。(コヤマン)

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