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◇コラムバックナンバー【週刊☆ビジマ】vol.49 よく遊び、よく創る!? 遊び心とものづくりの精神の関係とは・・・

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.tokeidai.net/works/    2003/09/29発行 No.049
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☆☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』第8回

        「創造力を高める! <前編> 遊び心」

                    技術戦略コンサルタント 生島一司
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アイキットの生島です。

今までのコラムで技術戦略の重要性について述べてきました。
この技術戦略について述べてきた部分は、一般的な経営における戦略としても充
分に有効でみなさんの参考になると考えています。


▼ 遊び心と創造力

今回は、咲本さんと私とのメールのやりとりで出てきた、次のような問いかけに
ついて私なりに考えていきたいと思います。

・大企業にも、遊び心や発想力が求められるはずです。長年、大企業に在籍され
る中で、それを失っていく要因はどこにあるのか?

・また、学生時代のまま持ち続けようとするためのポイントはどのようなものな
のか?

「遊び心・創造力」をどう扱えばよいのでしょうか?

私は「遊び心・豊かな想像力・発想力」が結果として「創造力」を高めていくと
考えています。しかし、この過程もあいまいですし、一般的には組織の中では遊
び心と組織のミッションの関係もあいまいなのです。遊び心を許容する組織も、
否定する組織もあるのが現実です。

ではどうしたら組織の中で、これらを失わずに高めていけるか。そして結果的に
組織全体の創造力を高めることができるのでしょうか。
これは最終的には、企業の戦略にも繋がってくる問題なのです。

これが今回のテーマです。壮大なテーマであり、少々話が長くなるので、前編と
後編の2回に分けてお送りします。

前編は、組織の中にいる個人の立場で遊び心をどのように扱えばよいのかを、私
の経験を元に考えてみます。次回お送りする後編では、切り口を組織側に置き、
組織の中で個人の果たす機能に焦点を当ててみる予定です。



▼ 何故、遊び心なのか?

学生時代に私は電子回路の研究室にいたのですが、研究室のメンバー(先生も含
めて)で「バーチャルの電子考古学研究所」なるものを設立し、日々半分不真面
目なテーマをこれまた半分真面目に討論して遊んでいました。
如何に埋蔵金や古代の遺跡を地中探査してデータを分析し、大儲け?するか...

ところが今頃になって見渡すと、そのときに議論したことが学術的にも産業的に
も成立しています。応用として、地雷の探査にも用いられているのです。

遊び心で始めたことが事業に結びつく、こんな例は枚挙に暇がありません。
閉塞感、行き詰まり感に見舞われている現在の日本の企業にも、これらを打開す
る遊び心や発想力が求められています。



▼ 遊び心と発想力を企業内で持ち続けるには

一言で言うと、企業・組織の評価システムと企業風土の問題があります。
企業・組織を利用して楽しく過ごせるか、脱サラせざるを得ないか。
これには環境と、もうひとつ考え方・メンタリティーが関係すると考えています。

自分の所属する組織が、自分のやりたいことをやらせてくれる。そして遊び心を
持って仕事を行うことを奨励、または黙認してくれる。このような環境にいる人
は本当に幸運です。

そうでない場合(これがほとんどですが)自分でポジショニングできるかどうか
が問題なのです。

個人が元々持っているマインド、性格、メンタリティーも大きく影響すると思い
ますが、多くの場合はやりようによっては自分で環境を作り上げることもある程
度可能だと思っています。
自分の置かれた環境によっては、客観的にどう考えてもこれが不可能に思える場
合もあります。この場合は、残念ながら転職か起業するしかないでしょう。

まず、どうすれば自分で自分の遊び心を満足させることができる環境を作り上げ
られるのかを、個人と企業・組織との関わりの中で考えていきたいと思います。

次に、大企業のような組織に長年在籍する中で、それを失っていく要因はどこに
あるのか、そしてこれを防ぎ組織の機能を拡大させることができるのかについて
主に組織の構造に焦点を当てて考えていきたいと思います。
(この部分は後編です)



▼ 組織の中でのポジショニングを考える

10数年以上前の話なのですが、液晶の研究をしていたときに当時の部長にこう
言われたことがあります。

「生島君、常識と規律を持った変人になって欲しい」

この上司の気持ちはある意味理解できます。彼は私に、研究に変化をもたらす画
期的な仕事を期待していたのでしょう。
ただし、組織の規律を無視した行動は取ってもらいたくないという思いがあった
のだと感じました。

行動はあくまでもサラリーマン、企業人であり、しかも上司の言うことには逆ら
わず組織の目標に素直に従うことを望んでおられたのです。

当時私は、半導体関係の研究所で液晶の駆動方法について研究していました。
個人的な希望としては、人間が「美しい」と感じる映像をとことん追求したいと
考えていました。
これは私の研究者としての遊び心だったのかも知れません。

これを突き詰めていくと、心理学的なアプローチまで必要になります。
一般に技術者は、物理量を扱います。映像に関しては、人間の目の物理的傾向を
加味して補正した心理物理量まで扱います。これらの量は測定可能です。
ところが美しいか、美しくないかは、測定不可能な心理量です。そこで心理学的
なアプローチが問題になるのです。

当時液晶を開発している他のメーカーの中には、このためのチームを持つところ
もあったのですが、私のいた半導体関係の研究所では、まったく手を付けようと
していなかったのです。

更にこの結果を映像に反映させるためには、液晶材料や液晶パネル内の回路、ま
た液晶パネルを駆動する回路の特性等を、先の研究結果に合わせて改良していく
ことが必要になってくるのです。


当時私が所属していた研究所は、半導体関連の量産化に向けた研究を行うところ
でした。従って研究所としては、液晶パネル自体の事業化を最優先にした活動を
していたのです。
その中で私は、研究所の主流である液晶材料屋、半導体屋を補助する回路屋の立
場でした。

このため、私の「美しい映像」の実現という研究テーマは、当然研究所の主流か
ら外れたものとして見られていました。
これが上記の部長の言葉を招いたのだと思います。

ところがありがたいことに、当時、私の直接の上司であった室長は、私の研究を
いくつかある私の正式な研究テーマのひとつとして認めてくれていたのです。
従って、俗に言う「ヤミ研」ではありませんでした。
しかし、研究所の主流からは外れていることには変わりがありません。随分肩身
の狭い思いをしました。


やがて液晶が次世代のディスプレイとして脚光を浴びてくると、この研究開発を
促進させる目的で、社内の他の研究所とプロジェクトが組まれました。
私の所属していた液晶パネルの量産開発を行っていた研究所では、液晶パネルの
量産開発以外の視点では何ら研究を行っていませんでした。
ところが、他の研究所からは「こんなことしかしていないのか!」と突っ込まれ
たのです。

こうした中で、にわかに私の研究が日の目を見るようになったのです。
私の研究を支えてくれた当時の室長には感謝しています。
幸運にも、彼は当時の世間知らずな私を守ってくれていたのです。
(彼は、後に半導体関連の研究所の所長になられました)



▼ 自分のやりたいことができる環境作り

今思うと、自分の仕事が「組織に利益をもたらす結果を招く」と周囲を説得する
とか、援助してくれる人を社内に複数作っておくというような仕掛けを、私自身
が作っておくべきだったと反省しています。

組織の中で、遊び心を保ち自分のやりたいことを行う。
このためには、結果として組織に利益が還元する、または還元すると周囲が考え
てくれる仕組みを作り上げることが必要です。
周囲に味方も作っておかなければなりません。
(私の場合は、気付かないうちに室長がカバーしてくれていたのですが)

この構造作りには、組織に対して貢献するという結果を先に示しておかなければ
なりません。「あいつがやると言うのだから、暫く様子をみてやろう」と思わせ
る何かが必要なのです。



以上の私の経験は、研究所という企業の組織の中での話ですが、企画や営業等と
いったまったく機能が異なる組織の中でも、私と同じような経験をされた方は多
いのではないでしょうか。

どのような組織中にいても、どのようなミッションでも本質は同じなのです。
「面白いのでこれをやりたい」という気持ちと「絶対に必要だ、役に立つ」とい
う信念を持つ。そして、これを実現して行く仕掛けを組織に中で作り上げ、個人
的にも味方を作っておく。

このような地道な行動が、遊び心と想像力をキープし、自分自身と所属する組織
自体の創造力を高めていく第一歩だと考えています。



今回は、遊び心や想像力を如何にして手に入れるかという話をしました。
後編では、組織の機能や性質、個人の考え方に注目することで、3層構造の中で
個人の能力がこれをどう支え、機能しているかについてお話したいと思います。

では、次回をお楽しみに。


■プロフィール
エレクトロニクス、情報技術の総合技術戦略コンサルタント
アイキット 代表 生島 一司
http://www.i-kit.jp/

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる。
大阪市立大学 工学部 非常勤講師(ベンチャー技術論 「技術と経営」担当)
大阪商工会議所 ITビジネスフォーラム コーディネータ

ご意見、ご感想、ご用命は以下のメールアドレスでもお待ちしています。
mailto: bijima@i-kit.jp

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http://www.nespla.jp/index.files/advise.htm

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
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   ・発行部数
     まぐまぐ: 619部(ID:0000106852)
     melma! : 73部 (ID:m00086769)
     発行部数: 692部(2003年9月29日現在)

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   編 集:小山 龍介   mailto:koyaman@koyaman.com
   編集協力:Idea in Action, Inc http://www.ideainaction.com/
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【編集後記】

◆先日、Googleの本社を訪問してきました。「勤務時間の10%は自分の好きなこ
とに使うこと!」という指示があるようで、こうした「遊びの時間」が技術者の
創造性を刺激しているという話でした。知り合いの技術者にも話したら、「うら
やましい〜!」と言ってました(^^; (コヤマン)

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