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◇コラムバックナンバー
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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.mankai.biz/        2004/06/07発行 No.141
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(1) 『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』
                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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          週刊☆ビジマのバックナンバーは、
        http://www.mankai.biz/からご覧になれます。

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☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』

            儲けを継続する一番よい方法

                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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アイキットの生島です。

前回のコラムに対してある意見を頂きました。
それは、「極端なビジネスは悪いのか?」というものでした。

前回、メルマガのタイトルが「【週刊☆ビジマ】vol.131 極端はよくない」とな
っていましたが、極端なビジネスがいけないと決め付けているわけではありませ
んので、誤解のないように補足しておきたいと思います。
http://www.i-kit.jp/business/bijima/bijima17.html


要点は、ビジネスの善悪ではなく、私の申し上げたかったのは継続性に与える影
響なのです。
というのも、ある条件下では極端なビジネスは儲かるのです。むしろ儲けに走っ
たビジネスモデルなので当たり前です。

問題は、その条件が持続するかどうかということなのです。
そして、その条件とは、以下の4つ。

  1.どこにもないオリジナリティー
  2.誰よりも早いタイミング
  3.あきられないような継続的な工夫
  4.外的要因に対処できる柔軟なビジネスモデル


1と2はセットと言ってもよいでしょう。
真似されてしまえば、後は価格競争でシェア争い、資本力がものを言う世界に突
入します。
最近、日本メーカーは中国を安く作るための世界の工場として考えることを止め
ようとしています。安いものを作っていたら、際限のない価格競争で誰も儲けが
出ないという状況になってきています。
現地をよく知っている中国人にとっても、儲からないビジネスになってきている
ようです。

3も重要です。
私は、「深層−中継層−表層」と連携するコアを持ったビジネスを構築すること
を提唱しています。この中で「表層」のビジネスモデルでの状況への対応がこの
3の部分です。

4の外的要因に対しては、「深層−中継層−表層」の連携でダイナミックに対応
するのがよいと考えています。

「深層−中継層−表層」の3層モデルについては、以下のバックナンバーを参照
してください。
http://www.i-kit.jp/business/bijima/bijima03.html


結論として、「オリジナリティー」+「スピード」、そしてこの効果の継続のた
めのビジネスモデルのチューンアップ、更に3層連携の新しいビジネスモデルの
絶え間ない創造。そして、この結果表層のビジネスモデルとして、極端なビジネ
スを構築する場合もあり得ると考えています。

私は、本業のコンサルティングの仕事ではこの点まで踏み込んでお話しするよう
にしています。何故なら、ピンと張り詰めた効率重視だけの表層でしか考えられ
ていないビジネスモデルは、外的要因に非常に弱いからなのです。

現実としてよくあるのは、みんなやっているという簡単な発想で後追いビジネス
を展開してしまい、うまくいかないから何とかして欲しいというお話です。
ところが、初めから3層連携を考えたビジネスを用意周到に準備しておかないと、
問題が発生した時点では修正のタイミングを外してしまって対応できないことが
残念ながら非常に多いのです。




さて、ここからが今日の本論です。
以前のコラム、「私が契約をお断りする3つの理由」
http://www.i-kit.jp/business/bijima/bijima04.html
で、私が企業を判断、評価する指標として次の3つを挙げました。

  1) トップの人間性
 2) 社員を大切にしているか
 3)「深層→中継層→表層」の流れを無理なく修正できるか


最近、これだけでよいのかなと考えさせられる記事と本に出会い、以前出会った
あるベンチャーO社の社長さんを思い出したのです。
もちろん純粋にビジネスとして考えると、これだけの指標で充分だと思っていま
す。
しかし、ビジネスの内容まで考慮し、それが将来に与える影響を考えると充分で
はないという思いもあるのです。
問題はそのビジネスの社会性です。


3年位前になりますが、あるベンチャー企業のブラッシュアップを行う会にオブ
ザーバとして呼ばれたときに、O社の社長さんはビジネスモデルの発表者のひと
として会に出席されていました。

その方のビジネスとは、とある地方都市にインターネットカフェとまんが喫茶を
融合した店舗を出店したいというものでした。
この手のビジネスは、ベンチャーではなく本当は銀行の融資案件なのでしょうが、
当時はインターネットという文字が躍っていれば、ITベンチャーとして扱われ
ることがあったのです。まだまだITバブルを引きずっていました。


O社の社長は、
「その地方都市とその周辺の人口や道路事情等を説明し、その地方では娯楽と言
えばパチンコぐらいだから新しい娯楽を提供すればきっと受け入れられる」
というようなプレゼンをされていました。

これを聞いた人の反応は大きく分けてふたつ。
ひとつは儲かるビジネスかどうかの指標だけで捉えるもの、そしてもうひとつは
その地方に与える文化的な影響を憂慮するものでした。

後者に対してのO社の社長の反論はこうでした。
「その地方の条例では、○才以下の青少年でも夜□時までは入店することができ
るから問題ない」
これに応えて、結論のない議論が延々と展開されたのです。


この手の話は、初めから結論の出る内容ではありません。
事の善悪を法律で考えるのか、価値観で考えるのかで結果はまったく違ってきま
す。

しかし、ビジネスに外部の資金を入れるとなると、どうしても短期的かつ大きな
成長性を求められます。これも善悪の問題ではなく、投資というお金の存在の性
質そのものがそうなのですからある意味仕方がありません。
この手の資金を入れるか入れないか、判断するのは社長の仕事なのです。


この話を思い出したのは、ある本とNewsweekの記事がきっかけでした。
その本とは、本屋でちらっと目に留まった本で、題名は「イヤなやつほど成功す
る! マキャベリに学ぶ出世術」(スタンリー・ビング著、草思社)です。

私は購入するほどの本ではないと思い、立ち読みしただけですが、内容は標題か
ら察する通り、成功するためには何をやっても構わないし、そう考え実行しろと
いうようなものでした。ただ筆者が本当にそう思っているのか、皮肉本なのかは
分かりません。

確かに、この本に書いてあることを実践している方は多く、大抵は高い地位にお
られます。私もこの種のエグゼクティブには何人かお会いしています。
しかしこの本の面白いのは、例として挙げられた人物がほとんど失脚しているこ
とです。
確かにやり過ぎると失敗するというようなことも書いてありましたが、私には大
いなる皮肉本と映りました。真相は作者のみぞ知るです。


そして、もうひとつの Newsweekの記事とは、
「世界企業ランキング − 企業の業績+社会的責任
真のエクセレント・カンパニー500社」2004.6.2号
企業を業績だけで選ぶのではなく、その社会的責任(CSR)まで考慮してラン
キングした記事でした。社会的責任のランク付けは、「企業統治」「従業員」
「社会」「環境」の4つの分野で行われています。

米国企業は社会的責任のランキングは低いのですが、財務ランキングで優位に立
っています。英国企業は社会的責任ランキングの内、「企業統治」「従業員」
「社会」で高いランクを占め、日本企業は「環境」分野で高ランクという結果が
載っていました。

ただ、日本企業はCSRが元々企業遺伝子として組み込まれているところが多い
ために、一般にCSRを特に意識しておらず、CSR報告書も作成していないと
ころが大半であるとのことでした。このため、実際にはもっとランキングが高く
なる可能性があるそうです。


このふたつの本と記事が、私には企業や人の社会に対する行動の両極端を代表す
るものに思えたのです。そして、身近なところにもそのふたつの考え方が反映さ
れる、先の例があったことを思い出したのです。

私は、社会的責任を企業のビジネスモデルにうまく組み込めたところが長期的に
見て力を発揮するのではないかと最近考えるようになっています。
つまり社会的責任は、企業を判断、評価する3つの指標を強化する方向に働くの
ではないかということなのです。

言い換えると、短期的な利益を追求する表層だけのビジネスより、外的要因にも
強い3階層の連携まで考えたビジネスの方が長期的に見て強く、更に社会的責任
を考慮することで結果的にこれらをより補強することに繋がると考えられるとい
うことです。


例に挙げたO社のビジネスですが、今となっては如何にも陳腐なビジネスだと感
じませんか?

別にまんが喫茶が儲からないといっているのではありません。
当時流行りのインターネットカフェを表層だけで安易に組み合わせても、ブロー
ドバンド常時接続が家庭でも当たり前になった現在の状況では、ベンチャーキャ
ピタルからお金を引き出せる、つまり上場による回収が可能な案件ではなくなっ
ているという状況の変化(外的要因の変化)について考えて頂きたいのです。

更に社会的責任の欠如は、何か事件があったときにリスクとして働くことも忘れ
てはなりません。事業の継続性にとって決定的なダメージを与えるでしょう。

実際のビジネスでは、表層のビジネスモデルのチューニングも必要ですが、これ
だけでは充分ではなく、コアコンピタンスである「深層−中継層−表層」の連携
による、ダイナミックで且つタイミングを外さない継続的な改革も重要になりま
す。

ところが、表層のビジネスモデルが短期的な儲けばかりに目を奪われたビジネス
ではこれを達成し得ないのです。


マキャベリズムかCSRか? 〜 選ぶのはみなさんです。
この出発点を間違えると、ビジネスは予期しない結末を迎えるかも知れません。



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■ 筆者プロフィール
技術戦略、経営の総合コンサルティング
アイキット 代表  生島 大嗣(いくしま かずし 本名 生島 一司)
http://www.i-kit.jp/

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる一方、国内外の企業間ビジネスアライ
アンスコーディネータとして活動している。

大阪商工会議所 ITビジネスフォーラム コーディネータ

ご意見、ご感想、コンサルティングの用命等は以下のメールアドレスでもお待ち
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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
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   ・発行部数
     まぐまぐ: 819部(ID:0000106852)
     melma! :  79部 (ID:m00086769)
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     発行部数: 921部(2004年6月7日現在)

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【編集後記】

◆次の移住の地について、だんだんイメージができてきました。そこまでは約5
000kmの車の旅になりそう。いわゆるアメリカ大陸横断の旅です。

◆いくつかの街を訪問する予定ですが、アメリカの地域差を肌で感じられたら、
と思います。繁栄している街、衰退している街、アメリカの経済格差は、実際に
訪れた印象も含めて、理解しておきたいのです。

◆生まれた福岡の街は、ちょうど僕の年代がもっとも子ども人口が多かったとき
で、それ以降は人口が徐々に減っていき、活力を失っていきました。その光景を
目にする前に、僕は愛知県に引っ越し、そこではトヨタ城下町の繁栄を享受。

◆その後に住んだ京都もやはり、底力のある成長をしている印象でした。いくつ
かの貴重なミニシアターは潰れてしまいましたが、経済的にはやはり、関西の中
心都市のひとつとして、非常に重要な位置を占めているように見えます。神戸、
大坂と、小さな盆地にある京都の関係は、アメリカでいうLA、SFとシリコン
バレーの関係も彷彿とさせます。

◆東京はその点、ハイパー都市、物理的な都市というより、国際的金融の中心と
して、むしろ抽象的な、象徴的な色合いを持ち、その意味で「都市」というよう
に、括弧付きで表現したい気がします。京都が歴史を引き継いでいるのに対して、
東京にとっての歴史、「江戸」は、生活においてほとんど実感されません。

◆「歴史」と「都市」という関係で言うと、僕はそのままヨーロッパとニューヨー
クという構図を思い浮かべたりもします。ニューヨークも、東京都同じ「抽象都
市」のように感じます。仮に人が誰ひとり住んでいなくとも、都市として機能し
そうな感じ、というのでしょうか? Matrixのメタファーを実感するのは、東京
とニューヨーク、という感じがします。

◆その点、西海岸は荒涼とした土地から短期間に街を作り上げた、「開拓の街」
としての歴史が見え隠れします。無数の国立公園は、その開拓時代の困難を想起
させる装置として、とても有効に機能しています。歴史の内容は異なりますが、
京都のお寺みたいなもの。「フロンティアを開拓し続けるアメリカ人」としての
アイデンティティを呼び起こすもの。

◆僕の個人的な印象なのでなんともいい加減ですが、その「抽象都市」から世の
中をもう一度眺めてみよう・・・、というのが、次の一年の僕の課題というか、
視点になりそうな気がする今日この頃です。

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