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◇コラムバックナンバー

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.mankai.biz/        2004/08/02発行 No.162
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(1) 技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜
                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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☆技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜

           スーパーゼネラリストが必要です

                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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アイキットの生島です。

少し前まで、日本企業はエリート社員を何でもできるゼネラリストとして育てて
きました。しかし、今では日本の企業はスペシャリストを求めています。
では、全ての人間がスペシャリストでなければならないのでしょうか?

欧米では、マネージャクラスまではスペシャリストでなければ勤まりません。
そうでないと就職もままならないのです。
ところがそれを束ねる経営トップだけは、もちろんスペシャリストのバックボー
ンを持ったゼネラリストです。そうでないと、スペシャリスト達を束ねていけま
せん。

広い見識と知識、優れたバランス感覚、独創的な発想力を持ったスーパーゼネラ
リストとでも言うべき存在が経営トップには不可欠なのです。

経営はバランスが大事ですが、これを判断する経営トップがスペシャリストばか
りだと全体を俯瞰した経営は無理があります。


私は「技術戦略コンサルタント」を名乗っており、技術系の企業の戦略コンサル
タントを専門領域としていますが、実際にコンサルティングを行っていくとこれ
だけにとどまらず、結果的に経営のあらゆる面に関わっていくことが多くありま
す。

もちろんコンサルティングを行う以上スペシャリストでないといけませんが、経
営に関われば関わる程、スーパーゼネラリストとしての素養が必要になると実感
しています。
正に間口は狭く、懐は深くなのです。

今回は、私の専門領域である「技術」と「経営」の結び付きについて考え、スー
パーゼネラリストの必要性をみてみましょう。



▼ 技術と経営を結ぶもの

私は「技術経営」を、次の2つの切り口で考えていきます。
http://www.mankai.biz/tec.html

 1. 利益を出す仕組みを考える(3層構造の確立)
  1−1)
       どうやって技術を獲得し維持するのか? <深 層>
       基礎研究開発力獲得、知的財産権の獲得、人材の獲得と教育、社内風土
  1−2)
      どのように技術を製品に活かすのか? <中継層>
      製品開発戦略(プロダクトアウトかマーケットインか)、組織&制度作り
      とその運用
  1−3)
      どのように技術を利益に結びつけるか? <表 層>
      ビジネスモデルとビジネスプロセスの確立、マーケティング、セールスプ
      ロフェッショナル

 2.社員の能力を活かす仕組みを考える

実際には、この2つの切り口からの拡がりは大きく、純粋に技術的なものからマ
ネジメント、人事施策、企業間アライアンス、社員教育、セールス、マーケティ
ング、M&Aと多肢多様です。


以前お話した、私が企業を判断する際に用いる「3つの指標」は、これに基づい
て考え出したものなのです。
http://www.i-kit.jp/business/bijima/bijima04.html

このように、私なりに「技術」と「経営」を結び付けて考えています。
そして、その中味が拡がりを持てば持つ程、全てを理解し実行するには、スーパ
ーゼネラリストが必要なのだと実感しているのです。



▼ MOTとは

さて、最近、「技術経営」という言葉を聞くようになりました。
「技術経営」はMOT(Management of Technology)とも言われています。
私もこの「週刊☆ビジマ」以外に「技術の経営」というメールマガジンにコラム
を書いており、この言葉を使う側の人間です。

確かに今、日本のもの作り産業では、再生に向けて様々な努力がなされています。
その中で、このような言葉が使われるようになっています。

しかし困ったことに、この「技術経営」という言葉にはっきりとした定義があり
ません。以前、私のコラムで「流行り言葉に振りまわされるな」ということを述
べたことがあります。
http://www.i-kit.jp/business/bijima/bijima05.html

MOTも単なる流行言葉で終わってしまうのでしょうか。
いくつかの例を見てみましょう。


経済産業省でもMOTに力を入れているようです。
同省の事業と連携した技術経営コンソーシアムという団体もあり、このHPでは、
「産業界が日本の技術経営教育をリードする形で、技術経営人材・起業家育成の
取組みを抜本的に強化する」ということが述べられています。
http://www4.smartcampus.ne.jp/index.php?7
ここでは、純粋に教育体系として用いられているようです。
企業にとって即戦力とはなりませんが、これからの将来を考えると必要な取り組
みだと思われます。


しかし、最近用いられているMOTは、この教育体系という概念から多少ずれて
しまっているように感じます。
経営学修士(MBA)の方法論に「技術」をまぶしたようなものとして単純に捉
えたセミナー等が目に付くようになってきています。

例えば、有名なコトラーのマーケティングと研究開発マネジメント、更に知的財
産や人材マネジメントを組み合わせてMOTセミナーとしているようなものが多
くあるのです。

このようなセミナーを受けただけで、本当にMOTを活用できるのでしょうか。
私は少々難しいように感じています。
上記のようなセミナーは、従来別々に開催されていた種々のセミナーのコンポー
ネンツを寄せ集めただけのように思えるからです。


必要なのは連携力です。
これをどう培うかが、MOTの真価だと思っています。



▼ MBAとの関連

MOTは理系のMBAとも言われているようです。
教育体系であるMBA(経営学修士)は、経営に関するあらゆることを学ぶ教育
体系です。
ですから、MBAは経営のスペシャリストと思っている人も多いようですが、そ
もそも経営とはある意味雑学の集大成の側面も強いのです。

しかし、実際の経営には一貫性が求められます。
実際に企業が行動する際には、そこには思想が必要であり、具体的に企業活動を
実行するにはコンセプトが求められるのです。そうでないと、企業の軸足がぶれ
てしまいます。


技術経営コンソーシアムでは、MOTは教育体系として捉えられています。
これはこれでひとつの正しいあり方でしょう。

しかし、見落としている点があるように思えます。
MBAは教育体系であり、内容は多くの書籍で紹介されています。確かに、書籍
だけを読めば知識は身に付きます。

ところが実際に米国でMBA教育を受けると、書籍で得られる知識以上のものが
あると言われています。
それは、教育現場での多国籍の学生や教授による議論の体験であり、それ以上に
MBA卒業者によるコネクションを利用できる点です。


日本では、大企業からベンチャー、またベンチャーから大企業へという双方向の
人材の流れがまだまだ活発ではありませんし、ベンチャーに対する資金も潤沢で
はありません。

これに比べて米国はどうでしょうか。
米国では人材や資金が日本以上に社会を循環しています。
「米国のMBAは、知識が循環する、お金が循環する、実体の伴った「文化」が
存在
  する。即ち、MBAはアメリカの文化の中で息づいてきたものである」
ということが言えるのではないでしょうか。

この文化の差は、日本型企業と米国型企業の行動原理、仕事の進め方、人材の確
保、登用、教育方法の違いに大きく現れています。
この違いを考えずに、表面だけでMOTを導入するのは問題があるのではないか
と考えています。


また、MITではMOTをMBAの体系の中で捉えようとしているようです。
http://mitsloan.mit.edu/execed/mot/
今後、この動きが拡がってくるのかを注目していきたいと思います。



▼ 日本的な「技術経営」

それでは現在の日本においては、どのように「技術経営」を考えていけばよいの
でしょうか。

将来的には、教育体系としてのMOTがある程度結果を出すと思いますが、現状
を考えるとそれを待ってはいられません。

しかしながら、循環社会を理解せずに、MBAの手法だけをやみくもに日本式経
営に導入するのも危険ではないかと思います。

当然のことながら企業はそれぞれに個性があり同じ企業はありません。
それぞれ強み、弱みを持っています。
企業はそれぞれ千差万別であり、必ずしもお仕着せの手法がそのまま通用しませ
ん。

基本は「3層の連携」と「人・組織」を基本に考えながら、目標と目的、手段を
明確にし、自社のあらゆる経営の要素を取捨選択し、連携させる方法を見つける
ことなのです。

ひとつの手法を取り入れただけで、経営が劇的に改善されるような特効薬はあり
ません。全体を見回して、連携を考え、いろいろな手法を取り入れ、改善してい
く必要があります。経営は単純な Yes と No の選択ではできないのです。

また、コンセプチュアルなところで整合が取れていないと、いくら経営テクニッ
クが優れていても事業が発散してしまい失敗してしまう例も多くあります。
表面上のテクニックを求めてくる企業に限って、事業のコンセプトができていな
かったり考え方の根本が間違っていたりしている例が残念ながら非常に多いので
す。

経営に選択肢的な答はありませんが、あたり前のことを、あたり前に考えていく
ことから道は見えてきます。この場合も、急がば回れが一番の近道かも知れませ
ん。

そして、その全ての連携を統率するのがスーパーゼネラリストである経営トップ
なのです。




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■ 筆者プロフィール
技術戦略、経営の総合コンサルティング
アイキット 代表  生島 大嗣(いくしま かずし 本名 生島 一司)
http://www.i-kit.jp/

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる一方、国内外の企業間ビジネスアライ
アンスコーディネータとして活動している。

大阪商工会議所 ITビジネスフォーラム コーディネータ

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     まぐまぐ: 813部(ID:0000106852)
     melma! :  78部 (ID:m00086769)
     独自配信:  23部
     発行部数: 914部(2004年08月02日現在)

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【編集後記】

◆今日は、FRIの河合さんにお会いしてきました。秘密の企画を提案したら、
「面白いね!」と。後半戦のひとつのネタです。

◆それから、ネクストグルーヴの足立さんに翻訳ビジネスについて、販売代理店
としてお願いすることに。それ以外に、英語ラインティング教室のアイデアを交
換して、これがおそらく来年1月に開始することになる。

◆「ISIS編集学校」での師範代の役割を仰せつかったのも、重要なこと。編集学
校のアメリカでの展開についても、渋谷理事長から直々に「よろしくお願いしま
すね」といわれ、がぜんやる気になる。

◆それから、もう一個はかけないのだけど、野望に充ち満ちたプロジェクトに。
これはめったなことでは経験できない、チャレンジングなプロジェクト。世界を
股にかけてやりますよ。

◆というわけで、人に会うたびに新しいプロジェクトが開始される感じですね。
やっぱり人との出会いがベースです。(コヤマン)

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